昨今の医療業界の動向
先進国は一般的に少子、高齢化社会になる傾向にあります。日本も例外ではありません。
そして、医療もその影響を大きく受けています。
まず一つは需要の問題です。
高齢化社会はその名の通り高齢者の割合が増えるということですが、高齢者はその健康維持のために病院を必要とします。
医療の需要は増え、多くの病院、医師が必要となっているのです。
さらに、高齢者は病院に通院するのが困難なことがあります。
都市部なら交通機関が発達しているので問題は少ないのですが、地方では通院手段がなく、しかもそのような地域は高齢者の割合が特に多いのです。
そのため、医師自ら患者を訪問する必要もあります。
医師の労働条件が厳しくなっている要因でもあります。
もう一つは供給です。
少子化ということは医療を目指す若者が不足するということです。
しかも、学習指導要領の変更で学ぶ時間が減ることにより、学力低下が叫ばれるようになってきました。
学力低下によって影響を受けるのは理系科目です。
多くの知識と応用力を必要と知る理系科目は敬遠されることになりました。
もちろん、理系学部の代表格である医学部に進学する生徒も減少したのです。
需要が増大し、供給が不足することにより、医師不足は深刻な問題になりました。
病院には常に患者があふれ、通院できず医師の訪問を待っている患者も増え、医師はいつも足りない。
患者にも医療従事者にも厳しい状況となっているのです。
医療業界は改革待ったなし
現在の医療業界を改善するために、医療の改革が必要となっています。
医療制度や法律の改正はすでに始まっていますが、それが適切に運用されているかは難しいところです。
また、人はそれが改善であっても、変化すると混乱するものです。
特に高齢者は変化について行くのは難しいでしょう。
場合によっては、大幅な変化が状況を悪化させ、生きにくい世の中を作ってしまうことになるのです。
しかし、いろいろな発想のもとで改革はもう始まっています。
例えば、病気やけがを治すための医療から、健康な状態を維持する予防医療の考え方が広まっています。
これなら病院で治療する必要が少なくなり、病院に関する問題が起きにくくなります。
健康を害する恐れのあるタバコへの依存を解消する禁煙を促す診療は予防医療の代表的な例です。
がん検診や成人病検診も多く実施されています。
また、医師にも最先端医療に従事することではなく、身近な医療を求めるようになってきました。
これは、医師の労働条件の変化にもつながっています。
重篤な患者に対して常勤で長時間労働をするのではなく、予防医療のための勤務が増えています。
つまり、医師にも非常勤やアルバイトといった労働形態が広がってきて、人材確保が容易なシステムになり始めているのです。