解消されない医師不足
医師不足が叫ばれてから久しいですが、その状況はなかなか改善されていません。
少子化の影響で若者が減っていることや、日本人の学力低下に基づく理系離れから医学部への進学者が減っていることもありますが、医師免許を保有していてもいろいろな事情で医療現場から離れてしまうこと、そして一度離れてしまうとなかなか復帰できないことが大きな理由として挙げられます。
医療現場の厳しさ
もともと医療というのは厳しい職場です。
患者の実態は様々で、命を失ってしまうこともあります。
勤務時間も朝から夕方まで、定時というわけにはいきません。
救急医療に対応する必要がありますし、夜間勤務もあります。
また、医師に対する世の中の意識も変化し、医師の行動には常に厳しい目が向けられています。
そして、特に厳しい状況にさらされているのは女性医師です。
もともと男性が多い職場で、女性の立場は理解されにくい上、女性の働き方が多様化していく中、女性同士の理解も難しくなっています。
そんな現場で働き続けるのは心身ともに負担が大きく、勤務体系を変えていきたいと考える医師は少なくありません。
働きやすい医療現場のために
柔軟性のない職場では、フルタイムで精力的に働くか、それとも退職かという極端な二者択一を迫られることになりがちです。
しかも、一度退職してしまうとなかなか復職できません。
その状況を改善するために、医師の復職がしやすいシステムを作ろうと各方面で様々な試みがなされています。
そのひとつが、医師の求人ネットワークの開設です。
これまで医師は、出身大学の医学部付属病院などで研修を受け、そのまま関連の医療機関で働くことが多かったのですが、研修医制度が改正されてどの病院で研修を受けてもよいことになりました。
しかし、どの病院で働くのが自分にとってよいかを判断する材料は少なく、結局大学の関連病院で働くのが大多数でした。
ですが、それでは本当に自分に合った病院を選ぶことはできません。
医療現場では前述の問題などで労働条件が厳しくなっており、退職する人も増えてきました。
そして、退職した後は、復職するときには全く情報がなく、再び働くことが困難になってしまうのです。
再就職しにくい職場は人材不足に陥りやすいものです。
医療業界も医師不足が深刻になってしまいました。