溶連菌感染症


溶連菌感染症とは文字通り溶連菌による感染症です。
溶連菌は正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌です。
溶連菌には様々な種類がありますが、そのうちのA群に分類される菌による感染症が一般的に言われる溶連菌感染症です。

溶連菌はのどに感染する細菌なので、溶連菌に感染するとまずのどに症状が現れます。
のどの発疹や痛みを伴う咽頭炎や扁桃炎、しょう紅熱などです。
昔は、しょう紅熱で亡くなる人が多く非常に恐れられた病気ですが、現在は抗生物質が開発されて治る病気になりました。

溶連菌感染症は、感染者のくしゃみやせきの飛沫を浴びることによって感染します。
また、菌がついた手などで食品を触ったりして、その食品を食べた人が感染することもあります。
感染者は幼稚園児や小学生に多くみられますが、まれに大人が感染するケースも報告されているので注意が必要です。

溶連菌感染症の症状

感染してから2~5日で症状が出ます。
最初に起きる症状は38~39度ぐらいの発熱です。
同時にのどが傷みはじめ、時には嘔吐もあります。
3歳未満児の場合にあまり高い熱は出ないといわれています。

体中に小さくて赤い発疹がでます。
特徴的な発疹は舌にできる発疹で舌がいちごのように見えるのでいちご舌といいます。
頭痛、腹痛、首筋のリンパ腺が腫れるなどの症状もでます。
せきや鼻水がないので風邪とはすぐに区別がつきます。
感染力は発症直後が一番強く、同居の兄弟や高齢者、妊婦への感染に注意が必要です。

治療までの経過

子供が高熱を出してのどが痛いといえば、まず風邪を疑います。
しかし、発疹が出始めたらまずは病原菌検査をして、病名をはっきりさせます。
のどについた細菌を調べれば、溶連菌なら10分程度で確定できます。

実は溶連菌感染症それ自体は、服薬を始めれば2,3日で熱は下がってきて、同時にのどの痛みも治まります。
湿疹も皮がむけてやがては治ってきます。
アトピー性皮膚炎のある人が感染した場合は溶連菌が、皮膚炎の部分から入り込み重症化することがあります。

問題は症状が回復した後におきる合併症です。
リウマチ熱は心臓弁膜に問題が起きる重大な病気です。
また、急性糸球体腎炎は腎臓に炎症が起きる病気です。
このような合併症を起こさないためにも、溶連菌を徹底的に排除しておかなければなりません。

症状が回復しても体内には溶連菌が残っています。
抗生物質は完全に菌が出なくなるまで飲み続けなければならず、自分の判断で勝手に服用をやめてはいけません。
普通は10日から14日間ぐらいは服用を続けます。
最終的に、症状が回復した後2週間から3週間後に検査をして菌が出ていないかを最終確認します。
自己判断は禁物です。

抗生物質以外にも、解熱剤や痛み止めなども必要に応じて服用します。
食事は刺激物を避け、のどごしのいいものにします。
発熱があり、食事も進みにくいので水分補給はしっかりします。
熱が下がれば入浴してもかまいません。

溶連菌感染症を予防するには

溶連菌の予防接種はないので、一般の感染症と同じく手洗いやうがいを徹底します。
流行の兆しがあるときや家族が溶連菌感染症になってしまった時にはマスクが有効です。
家族が溶連菌に感染したときには、食器やタオルも別にしてドアノブなどを消毒して二次感染を予防ましょう。