ジフテリア


ジフテリアはジフテリア菌に感染して起きる急性感染症です。
主に上気道粘膜に症状があらわれ、呼吸困難がおきます。
悪化すると呼吸不全に陥って命を落とすこともある恐ろしい病気です。
感染経路は、飛沫感染です。

病原菌は目・耳・陰部・皮膚などにも増殖して様々な障害を起こします。
また菌が生成する毒素で昏睡や心筋炎などの症状が起き死亡することもあります。
日本ではワクチンが普及して、患者数は数年に一人というレベルまで少なくなりました。
しかし、海外から持ち込まれる場合もあるので油断はできません。

ジフテリアの症状

ジフテリア菌に感染して発症するまでに2 ~5 日間程度の間隔があります。
最初の症状は高熱とのどの痛みです。
喉に感染すると喉の奥に白っぽい膜ができ、膜は厚くてはがすと出血します。
この膜を偽膜といいます。
偽膜は病状が進むと気道をふさいでしまうので呼吸困難に陥り、最悪の場合窒息死も考えられます。

首のリンパ腺が大きくはれ上がり、悪化すると牛の首のように太くなってしまいます。
また、声がかれて犬が吠えるようなせきが出るのもジフテリアの特徴です。
鼻に菌が感染すると血が混じった鼻汁が出て、鼻の穴や上唇がただれます。 

ジフテリアは、合併症も恐ろしい病気です。
ジフテリアの症状は4週間から6週間で改善してきますが、その時期に重篤な合併症が起きることがあります。
末梢神経に炎症が起きて神経麻痺が起きることがありますがこの症状は特に長引くこともなく完治します。
恐ろしいのは、心筋が炎症を起こす心筋炎で突然死につながります。

ジフテリアの治療法

ジフテリアの確定診断をするためには、患者の喉の病原菌検査をします。
しかし、ジフテリアは早期治療が非常に重要なため、検査結果が出る前でも医師の判断で治療を始めることがあります。

ジフテリアの治療には、 「ジフテリア抗毒素血清」を投与しますがこの血清はウマ由来なのでアナフィラキシーショックにも注意を払う必要があります。
日本では、全国の数か所にしか備蓄がありません。
血清でジフテリア菌の毒を中和するととともにペニシリン、エリスロマイシンなどで菌を殺します。

心筋症を発症してしまった場合には治療は長引きます。
ジフテリアの症状が改善してもしばらくは、心臓の様子を見ながら静養する必要があります。
完全に治るまで、登校登園はできません。

ジフテリアの予防法

ジフテリアの予防にはワクチン接種が最も確実な方法です。
生後三か月から、ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合ワクチンの接種が可能になります。
乳幼児期に2回、11歳から13歳にもう一度接種します。

ワクチンの接種率は一回目から三回目まで徐々に低くなる傾向があります。
きちんと三回すべてを受けるようにしましょう。