百日咳は百日咳菌という菌に感染して起きる急性感染症です。
症状は、その名の通り2,3か月続く激しいせきです。
一度かかると生涯的な免疫ができます。
感染経路は飛沫感染で流行季は初夏から秋です。
従来は0歳から3歳までにかかる病気でしたが、最近は年齢の幅が広くなって大人の感染者も増えています。
この病気は母親からの抗体が受け継がれにくいため、生後5か月以下でも感染することがあり、この場合には重症化して肺炎などの合併症の心配もあります。
百日咳の症状
感染から発症まで1週間から2週間の間隔があきます。
発症は微熱が出て鼻水やくしゃみ、せきなど一般的な風邪の症状と同じ症状が出ます。
熱はあまり高くなることはなく、人によっては発熱しないこともあります。
病状が進むにつれてせきが徐々に増えてきて夜間は激しくせき込むようになります。
激しくせき込むため呼吸が困難になり非常に苦しい思いをします。
発作的なせきの後に空気をすうとヒューと音がします。
これをフーピングといい、百日咳の大きな特徴の一つです。
この症状を「発作性けいれん性咳そう」といい、激しく体力を消耗するので、栄養摂取が非常に大切なことになります。
乳児の場合には激しくせき込むと呼吸が止まることもあるので、病状によっては入院して人工呼吸をする必要があります。
名前のとおり百日程度でせきが治まります。
百日咳の治療法
治療は主に薬物療法です。
エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどが有効で、早期に服用すると激しいせきに襲われる前に軽快することができます。
ただし、百日咳は早期発見が難しく、なかなか早期薬物治療に結び付けることができません。
ほとんどの場合が激しいせきの状態にまで進行してしまいます。
百日咳と診断するのが遅くなって、服薬時期が遅れたとしても百日咳菌を退治することはできるので、2週間程度継続して服薬しましょう。
抗生物質のほかにも症状を見ながらせきをおさえる薬も服用します。
せきの発作を少なくするためには、室温はできるだけ25度ぐらいに固定して十分加湿しましょう。
夜、辛い病気なので昼間にしっかり食事をして十分に栄養をとります。
パサパサしたものや酸味のあるものは喉に刺激を与えることになるので、水分の多いのど越しのいい食事を心がけます。
「発作性けいれん性咳そう」が治まったら登校登園できます。
百日咳の予防法
百日咳はワクチン接種で予防できます。
日本では百日咳にジフテリア、破傷風を合わせた三種混合ワクチンとして定期的に接種するための制度があります。
百日咳は乳幼児にとっては恐ろしい病気です。
生後3ヶ月から接種できるので、できるだけ早くワクチン接種しましょう。
ただし、年月が経つと免疫が弱くなるので再度ワクチンを接種しておくと安心です。