合併症が多いおたふく風邪
おたふく風邪は、正式には流行性耳下腺炎といいます。
ムンプスというウィルスに感染して起きる病気なのでムンプスと呼ぶこともあります。
飛沫感染なので患者のくしゃみやせきの際の唾液にかかると感染します。
比較的感染力が強いので、かかった場合には基本的には自宅から出ないようにします。
暖かくなってくると患者が増える傾向にあります。
1歳から9歳ぐらいまでの子供がよくかかりますが、特に多いのが3,4歳です。
感染しても発症しない人もいます。
おたふく風邪の症状
感染してから発症するまで2~3週間間隔があきます。
最初は37度から38度ぐらいの熱が出ます。
その後耳の下の耳下腺が腫れます。
幼児や乳児の場合には耳を痛がります。
最初は片側が腫れますが、やがては両側が腫れて顔が下ぶくれのおたふくのようになるのでおたふく風邪と呼ばれます。
腫れは一週間ぐらいで治ります。
腫れが治ると感染力も弱まってきます。
様々な合併症も引き起こす
ムンプスウィルスは、耳下腺やその周りの唾液腺などを中心に、体の様々な場所で炎症を引き起こします。
おたふく風邪は合併症が多い病気として知られているのです。
脳で炎症を起こせば髄膜炎や脳炎を起こします。
髄膜炎は、発熱や嘔吐、頭痛などの症状がありますが2週間程度で治まり、後遺症も残しません。
脳炎を起こすと、髄膜炎の症状に加えて意識障害などが起き悪化すると障害が残ることもあります。
膵臓も炎症を起こすことがあり腹痛をおこします。
ごくまれにおたふく風邪難聴が出ることもありますが、ほとんどが片側に発症するので気が付かないことも多いようです。
思春期以降の人が感染した場合には精巣や卵巣に炎症を起こしますが不妊につながることはまれです。
妊娠初期の人がかかった場合には流産のリスクが高くなります。
治療には安静が第一
ムンプスウィルスに対する薬は開発されていませんが、炎症の痛みを抑える鎮痛剤が処方されることがあります。
食事は、刺激物やすっぱいものなど唾液分泌を多くするものは避けます。
固いものも避けて耳下腺からあごや唾液腺の周囲を刺激しないようにします。
腹痛、頭痛、高熱などの時には、合併症がないかを確認するためにも医師の診断を受けましょう。
発症後5日経過していて、元気を回復していれば登校登園は可能ですが、体調が悪いときには無理をしないように心がけましょう。
おたふく風邪はワクチンで予防する
予防法はワクチンの接種です。
生後12か月になると、おたふく風邪ワクチンを接種できます。
ワクチンは任意のものですが、効果が高いものです。
流行し始めるとワクチンの需要が高まって、予約してもなかなか順番が回ってこない場合があります。
12か月になったらおたふく風邪のワクチンを接種しておきましょう。